10.3月議会一般質問
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2010年 3月定例議会 一般質問
1.公契約のあり方について
価格だけを評価して、業務委託先を選択する現行の自治体入札制度は、労働者の低賃金化など、様々な公正労働上の問題を引き起こしています。自治体は公正労働基準の確立や環境・福祉など、社会的価値の実現に取り組む責務があり、そのための有力な手だてとして、全国の自治体が検討を始めている「公契約条例」があります。 私は機会があり、先月全国に先がけて昨年の9月定例会で全会一致により、この条例を制定した千葉県・野田市を視察することができました。この条例制定以降、視察が100件、問い合わせが200件にのぼると言います。この日は金沢市議との視察を予定していましたが、後日名古屋市議から、当日旭川市議からも同席希望がありました。説明を受けている途中に、根本崇市長が挨拶に入られ、「近年の制度改革により、不正な入札は改善されたが、一方で過度な競争に伴う低入札価格化を招いた。その結果、下請け業者や労働者がしわ寄せを受け、賃金低下を招いている。いわゆる『官製ワーキングプア』という状況を行政が作り出すことは好ましくない。それは巡りめぐって市民サービスの劣化に繋がる。全国市長会を通じて国に法制化を要望したが進展しなかった。地域経済の急激な悪化から、先鞭を付ける意味で条例化した。ぜひ皆様方の自治体でも条例化に向けてご協力お願いしたい。」と述べられました。この野田市のとりくみを踏まえ、以下の質問を市長に行います。
(1)まずは契約金額の大きな建設工事について、野田市は公共工事に係わる下請け、孫請け、派遣労働者をも視野に入れた賃金の最低額を定めました。この最低額は法の定める最低賃金を上回る賃金を義務化することになります。ただし対象としたものは予定価格1億円以上の建設工事に絞り込み、年に3~4件が相当するといいます。これは現行の最低賃金制度が労働者の最低生活を保障する「セーフティネット」として機能していないことが背景にあります。また、法的な懸念事項については自治体と契約する事業者に限定した条例であることから、クリアできているとの見解でありました。 白山市の場合、同規模の契約は本年度は少ないもののここ3年間では学校建築を中心に年6~7件で推移しています。こうした規模の契約には通常「最低制限価格」を設定し、低価格競争に歯止めをかけたり、国の法整備を受け、2年前から本市でも「総合評価方式」を導入し、技術力や地域貢献度などを点数化し、価格だけの視点にならないような仕組みも導入してきました。しかし、いずれにしても本市では労働者の賃金に踏み込む規定はありません。東京都日野市が検討していると聞きますが、まずはこの評価項目の中に労働者の賃金規定を組み込めないか、お聞きいたします。
(2)次に業務委託の契約について、本市では庁舎や関係施設の管理や清掃、スクールバスの運行業務などがそれに当たります。野田市は予定価格が1000万円以上を対象としており、年間15~16件、本市の場合、同一条件では7~8件とのことです。私は2年前、松任地区のスクールバスの運行契約が毎年の入札で価格が低下し、雇用されていた運転手さんが新規契約業者に引き続き雇用されたものの、賃金が引き下げられ、しかも1回の運行時間も制限されたことから、安全運転にも支障が出るのではないか心配されるとの声を聞きました。こうした業務委託の場合は「最低制限価格」の設定はなく、低価格競争が心配されます。また、このように契約額が概ね人件費と見なされる業務は、結局そのしわよせが労働者に来ることは容易に推測できます。しかし、現行法制ではこうした労働基準や最低賃金の遵守などには、発注者は関与しにくい構造になっています。そこで質問ですが、発注者である市の責任として、入札時や契約後に継続的にアンケート調査などを行い、賃金の実態把握を行うなど、無定量な低賃金化に歯止めをかける手だてを取るべきと思いますがいかがでしょうか。
(3)最後に、一昨年の12月議会で宮岸議員からもこの公契約条例制定について質問がありました。市長からは労働者保護については一定の法制度が整備されており、法令遵守については関係機関に働きかけるとの答弁があり、発注者である自治体の責務ではないとの姿勢でありました。野田市は既成の法体系の元では地域の労働者の生活は守れないと判断し、条例を先行させることで国に法整備を求めるとし、全国の自治体にも条例化を呼びかけました。すでに本市も一昨年の12月議会では議会提案として国へ「公契約に関する基本法の制定を求める意見書」を全会一致で採択しています。その中で国に批准を求めたILO94号条約には「住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は、労働者に人間らしい労働条件を保障すべきであり、発注者たる公的機関は、それを確保するための責任を負っている」という定めがあります。市長には改めてこの公契約の条例化に向けて検討を始めるよう強く求め、質問といたします。
2.全国学力調査への対応について
文部科学省は今年も4月20日に小学校6年と中学校3年を対象に行う4回目の全国学力学習状況調査(以後、学力テスト)の実施要領を決め、昨年末に各学校へ通知しました。この学力テストについて新政権は当初から「悉皆を抽出調査に変更する」という方針を示し、事業仕分けにもかけ、文科省は約30%の抽出調査といたしました。私はこの間、悉皆調査が「序列化や過度の競争」を生み出し、しかも白山市が平均正答率などの調査結果を公表することで一層拍車をかけるとの指摘を行ってきました。過去3年間の全国的な状況を見ると、学校現場はこの学力テスト対策に追われ、白山市でも学校研究主題がほぼ「学力向上」に焦点化されるなど、私はこれが悉皆調査に起因すると考えています。市内のある中学校では定期テストの成績優秀者を表彰したり、各種検定受検者に補助をするようなことがあると聞きます。学校現場までもが点数学力の向上という呪縛にとらわれた1例かと思います。しかも今回、せっかく抽出としながら「希望利用方式」が盛り込まれたことで、白山市のみならず県内すべての自治体が参加を表明し、事実上の悉皆調査となりました。こうした経過を踏まえ、以下の質問を教育長に行います。
(1)教育長はこの3年間の推移から、白山市の子どもたちの平均正答率が上昇傾向にあり、引きつづき成果を確認したい、との見解を議会全員協議会の場で述べています。今回抽出とは言え、石川県においては小学校33%、中学校58%という高い抽出率となっており、文科省は学校規模を網羅するために必要との説明をしています。そうすれば本市があえて希望してまで悉皆調査を選択することの理由はありません。改めてこの希望利用調査に参加する目的をお尋ねします。
(2)文科省は抽出ということから、結果の集計については学校や市町村単位で行わないことを表明しています。したがって県も町村のデータは文科省からは入手できず、市についても各学校のデータを把握できるのか不明です。ましてや希望利用校のデータ処理については、文科省は各学校に負担をかけないとしていることから、本市も当初予算で集計委託費が計上されています。しかし、文科省と市が委託する業者との採点基準が違うことも十分に予想されますし、仮に抽出校と希望校のデータを市として把握できたとしても、教育委員会が期待する昨年までのような集計結果は得られないのではないかと思います。こうした中で再び市の平均正答率等の公表を考えているのかどうか伺います。
(3)昨年まで平均正答率が低位とされた自治体では、その責任の所在を学校現場にもとめるようなキャンペーンが全国的にありました。本市でも各学校に学力向上プランの作成が課せられ、あたかもこの学力テストが教育課程の優先事項のような事態となりました。改めて文科省の実施要項を見ますと、その目的には「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」とあります。つまり、このテストの第1義の目的はあくまで行政の教育施策の改善であります。この3年間、教育現場への叱咤があっても、本市・教育行政として条件整備や施策の改善がなされて来なかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(4)この調査では同時に学習環境を問う「質問紙調査」がなされています。具体的には「何時頃起きるのか」「朝食を摂っているのか」「何時間家庭学習をしているのか」など77の質問事項に応えるものです。こうした調査はすでに別途県が行ってきた学力調査のなかでも実施されてきており、基礎学力調査研究委員会の分析・考察によれば、「朝食を摂っている児童は摂っていない児童に比べて正答率で20%の開きがある」などの見解を公表しています。こうした考え方の背景には06年以降、文科省が主導してきた「早寝早起き朝ごはん」など、生活リズム向上運動があることが容易に推察できます。いわゆる「学力」が伸びないことは様々な複合的要因に基づくと考えるのが自然であるにもかかわらず、結局、子どもや家庭、学校の問題とするなど、最初から決められた結論に誘導しようとする意図が見えます。改めて本市として、こうした子ども達がおかれた学習環境と学力とを結びつけるような安易な分析はしないよう求めますがいかがでしょうか。
(5)白山市は文科省による「子どもの生活リズム向上のための調査研究」の委託を受けて運動を進めています。これにより子どもたちに生活リズム改善や挨拶運動を呼びかけていますが、進め方を間違えると子ども達に一律的な価値観や家庭状況に対する劣等感を植え付けることに繋がりかねません。つまり、この生活リズム向上運動が、大人の価値観や規範意識のおしつけになっていないのか、白山市が他市に先駆けて制定した「子どもの権利条例」では子どもの権利を大人や行政が保障するよう求めていることと齟齬をきたさないのか、国内での認知度も高まり、今年10月に権利条例に関わる全国の自治体が集まるシンポジウムを開催する本市の事業として適切なのか、教育長の見解を求めます。
3.白山麓のジオパーク認定に向けて
私は07年の12月議会で白山及び白山麓をユネスコが支援する「世界ジオパーク」に認定申請するよう質問いたしました。この年はまだ糸魚川市が積極的に全国協議会を呼びかけている時期であり、この呼びかけに応ずるようにも求めました。その後、08年に国内の認定機関として「日本ジオパーク委員会」が発足し、ここで認定を受ければ世界委員会に申請できるという仕組みが整えられ、09年8月に洞爺湖・有珠山、糸魚川、島原半島の3カ所が日本で初めて「世界ジオパーク」に認定されたわけであります。その後09年10月現在、11地域が日本ジオパークとして認定を受けています。その中に「恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク」が入っています。私は白山と白山麓には十分に地質遺産があるとして、早い時期から指摘をしてきただけに、地質遺産の内容が類似する勝山市の認定には、先を越されたという思いを持ちました。そして、先月末にその勝山市を視察してきました。 対応していただいた企画財政部ジオパーク推進室長からは「本市は07年12月から認定への動きを始めた。きっかけは県から申請要請である。もともと恐竜で街づくりをしてきた経緯があり、2000年のエキスポ福井で立ち上げた県立恐竜博物館には今も年間40万人の来館者が続いていることが認定の弾みになった。またテーマは化石だけでは不十分と言うことから、市内にある火山活動に伴う地質遺産を組み込み、09年6月に経済産業省でプレゼンを行い、その後、8月に現地調査、10月に認定を受けた。新年度は500万を予算化し、表示看板の設置、セミナーの開催、地質遺産をめぐる遠足コースの整備などを考えている」との説明を受けました。そこで市長に質問いたします。
(1)昨年の12月県議会において、同趣旨で白山麓手取層群のジオパーク認定に向けた検討ができないか、との質問があり、観光交流局長は「地域の認知度の向上と観光誘客につながるものであり、白山市と十分に研究していく」との答弁を行いました。白山市には私が思いつくだけでも、「日本地質百選」に登録された「白峰百万貫の岩」、桑島化石壁、岩間噴泉塔群、そして複数の火口湖を有する白山など地質遺産は勝山市を凌ぎます。日本ジオパークへの認定は勝山市に遅れを取りましたが、将来世界認定をめざすなら、勝山市との共同歩調が不可欠となり、福井・石川両県の協力も求めねばなりません。そのためにはまず本市が「日本ジオパークネットワーク」に加盟することが必要であります。今回2回目の質問となりますので、ぜひ前向きな答弁を求めたいと思います。
(2)次に、県議会で本市の「恐竜パーク」を県立自然史資料館の別館として活用できないかとの質問がありましたが、答弁は消極的でありました。「恐竜パーク」は観光施設として地域振興公社が10年度まで指定管理を受けていますが、施設・設備の老朽化や観光客の減少が課題となっており、私は観光施設としての役割は終えていると考えています。ジオパーク認定には市民との関わりや教育普及活動も求められます。県議会での質問も視野に入れ、広く県内の子どもたちを受け入れる教育体験施設として用途変更ができないか、この件は06年以来、3回目の質問となり、今回の観光施設あり方委員会報告でも受け入れていただいたと理解しています。ぜひ新年度内で方向性を定めるよう求めますがいかがでしょうか。
(3)最後は桑島地区にある化石調査センターについてであります。ここでは林道工事に伴い化石壁より産出した大量の岩石を対象とする化石調査が2期10年間続けられてきました。この間世界に発信できる恐竜やその他貴重な動物化石が発見され、大きな研究成果を重ねています。しかし一方では調査期間を限定した事業であり、一度延長されたものの、この3月に終了予定となっています。県は当初の支援を昨年度は1/4まで減額しており、新年度は調査支援を打ち切ると聞いています。現地ではまだまだ研究素材が残っており、当初予算では一定の調査費等が計上されましたが、いつまでこの白山市の単独予算のみで調査が継続できるか懸念いたします。この間指摘してきたようにこうした事業を一つの自治体が担うことは不自然であり、福井県が化石採掘を県主体の事業としていることと比較してあまりに対照的です。市長はこの事業について県とどのように折衝されてきたのか、今回の県支援の打ち切りについてどうされるのか見解を求めます。
